身代わり婚約者との愛され結婚
 何故なら三男のベネディクトにとって私以上に適した婚約者はおらず、そしてそれは私にとっても同じことだった。


“婿入り出来て、経済状況や領民との間も悪くなく、そして権力に……公爵という爵位に興味を持たない人材”

 私が公爵になる為に望む全てを備えているのは、やはりベネディクトだけだから。


“物語のヒロインのように、私も全て失ってしまえれば……”

 そんな考えがふっと芽生えすぐに頭を左右に振る。
 私はエングフェルト公爵家の後継者として、何一つ失うことなど許されないのだから。
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