身代わり婚約者との愛され結婚
“いつまでもこのままではいられないけれど”


 先日の茶会時に交わした小さな言葉遊び。

 しっかりと伝わってしまった私の気持ちが照れ臭く、けれどもやはり少し嬉しかった私は、この押し花に乗せた気持ちに気付いて欲しいような、やっぱりまだ気付かないでいて欲しいような複雑な気持ちになる。


 私たちがハッキリと口に出した時、何かが進展するのだろうか。
 それとも、何かが終わってしまうのか――……


“少しだけ、怖い”

 決まっているのは、私はレヴィンではなくベネディクトと結婚するということだけ。
 
 
 だからあと少しだけ、と願いを込めた私は、レヴィンから貰ったアルストロメリアの押し花をそっと手紙に挟んで彼に返事を出したのだった。
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