アンハッピー・ウエディング〜前編〜
「スーパーでもらった氷を入れてから、まだ溶けてないと思うけど…。バニラとチョコ、どっちが良い?」

「うーん。どっちも!」

「…どっちかにしろよ」

夕飯前だぞ。おやつは控えめにな。

「そっか。じゃあ…うーん、究極の選択…!」

「…大袈裟なこと言ってんじゃねぇよ…」

バニラもチョコも、両方3本ずつ入ってるアソートパックのアイスだから。

今日はバニラ食べて、明日はチョコを食べる、でも良いんだし。

そんな悩むようなことじゃないだろ。

「悠理君はどっちにするの?」

「俺?俺は別に…。今は食べないけど…。…バニラかな?」

「じゃあ、私もバニラにしよーっと」

…そういう決め方?

まぁ、どんな決め方でも良いけど…。

「じゃあ、バニラな。はい」

「わーい。ありがとう。…これ、当たり付きのアイス?」

「あぁ。当たってたらもう一箱プレゼントだって」

「…!頑張って当てなきゃ!」

…頑張って…当てるようなものでもないと思うけど。

当たり付きの棒アイスって、なんか夢があるよな。

実際当たってたとしても、それをお店に交換してもらいに行くの、なんかハードル高いと思うのは俺だけなんだろうか。

だって、小っ恥ずかしくないか?

小さい子ならともかく、高校生にもなって。

まぁ、滅多に当たるもんじゃないけどな。

「もぐもぐ。ぺろぺろ…」

寿々花お嬢さん、3割引の棒アイスに夢中。

一心不乱に舐めとる。

大人しくアイス食べててくれてるあいだに、さっさとハンバーグを作るとしよう。
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