「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~

「そうでした。そのことも話をしたかったのです」

 ついでといってはなんだけど、ジョフロワとカフェにいたことも言い訳しておきたい。いいえ、違った。説明しておかないと。

「彼は、アムラン王国の大商人エルキュール・ロートレックの甥のジョフロワです。彼らは、このラングラン侯爵領に商売で立ち寄ることがあります。主に翡翠の取引をする為です。その彼らに、慈善病院の援助してもらおうと思いつきました。そして、彼らは援助することを快く引き受けてくれたのです。援助してくれているジョフロワの誘いを無下には出来ませんので、食事をしたりお茶を飲んだりしています。とはいえ、まだ一度だけですが。ああ、そうでした。今回の流行り病の件は、彼とは無関係です。彼からきいた話ではありませんし、彼から要請を受けたわけでもありません」

 やましいことはないのよ。

 そう暗に伝える為に、フェリクスの翡翠色の瞳を見つめたまま言いきった。
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