「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
「人身売買は、アムラン王国でも禁じられている。奴隷制度だってそうだ。アムラン王国だけではない。この大陸全域が、それらを禁じている」
「ええ、知っているわ。だけど、実際には行われているでしょう? どちらもね」

 様々な悪事同様、どちらもなくならない。

「そういうのではない。きみには、その、わたしの、わたしのパートナーとしていっしょに来て欲しい」
「パートナーですって? いったいなんの? わたしは、なにも出来ないわ。商売の一つすら。そのことは、エルキュールにも指摘されたから」

 まだ笑い続けているエルキュールに視線を向けた。

 彼らに援助を頼んだとき、駆け引きの真似事を試みた。そのとき、エルキュールに言われたのである。「きみは、商売人には向いていない」、と。
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