僕と永遠を誓いましょう
「えっ?えっ?早乙女さん、どうして?どうして家に?」

真冬は苺の住所を知らないはずだ。小さく手が震えていく。真冬が玄関の中へと入り、苺はその場に座り込んでしまった。

「苺さん、行きましょう」

真冬は、座り込んでしまった苺を気にすることなく笑顔で手を差し伸べる。しかし、苺はその手を取ることはできなかった。

「い、嫌……」

苺は首を横に振る。それは、真冬には幼い子が駄々を捏ねているようにしか見えないのだろう。困ったように微笑んだ後、真冬は苺の肩と太ももの裏に手を回し、抱き上げた。

「今から色々と準備がありますから」

「や、やだ!離して!」

苺は手足をバタつかせたものの、その抵抗は無意味だった。マンションの前に停められた車に苺は乗せられ、車は走っていく。

「降ろしてください!早乙女さん!」

「早乙女じゃなくて、真冬って呼んでくださいよ」

降ろしてと騒ぐ苺に対し、真冬は困ったように笑いながら的外れなことを言う。そうしているうちに、車は真冬の働いている結婚式場に着いてしまった。
< 8 / 11 >

この作品をシェア

pagetop