りんご飴の熱

溶けたりんご飴



2人で家に向かって歩く。


「、、、、、。」
 

「、、、、、。」


な、何話したらいいんだろ。


喋らない方がいいのかな、話しかけてもいいのかな。


で、でもまたツンツンしちゃってケンカになっちゃったらどうしよう。


あ、でもこれは言わないと、


「あのさ、勇輝。」


「ん?」


「今日、もしかして私のせいで待ち合わせ遅れちゃったの?」


「、、、あいつが余計なこと言うから。」


「もしそうだったらごめんね。」


「、、別に俺が場所間違えただけだし。」


「、、ありがとう。」


勇輝はそっぽを向いた。


表情が見えない、けどちょっと耳が赤かった。


小さい頃と同じな照れた時のクセ。


あの頃と同じなことが嬉しかった。


「、、、1つだけ。」


「ん?」


「1つだけ、嘘ついた。」


え?なんだろう?


「、、久しぶりに2人で会って、なんか嬉しくて、もう少し側にいたいって思ったんだ。」


そ、それって、、


「昔は2人で甚平着て手繋いで走り回ってたな、とか思い出してた。」


「覚えてたんだ。」


「当たり前だろ。あと、その、」


懐かしいな、夏祭り以外もずっといっしょだったな。



「浴衣、似合ってる。かわいい。」


「、、、えっ」


そっぽ向いた顔を少しだけこちらに向けて目線で私を貫いた。


耳だけじゃなくて顔も真っ赤だった。


雷に打たれたみたいに体が震えて熱くなる。


ドクドク響くこの音は私の心臓の音。


どうしよう、勇輝に聞こえちゃうかも。


「あ、、えと、、」


「ふっ、顔真っ赤。」


「勇輝もでしょ!」


「「、、、、。」」


「ふふふ!」「あはは!」


真っ赤な顔で睨み合うお互いがなんだかおかしくて2人して笑った。


「あのさ、これ。」


「りんご飴!」


「絵美いつも絶対りんご飴買うだろ?まぁ、ぶどう飴食べてたからいらないかもだけど、」


「欲しい!りんご飴売り切れてたんだよね。」


「そっか。はい、どーぞ。」


「ありがとう!勇輝!」


昔に戻ったみたいに隣に並んで家を目指す。


会話が多いわけじゃないけど、2人の雰囲気は柔らかい。


そして、家についた。


もう着いちゃった、あっという間だったなぁ。


「じゃあな。」


「あ、」


思わず勇輝の服を掴んでいた。


「、、なに?」


「あ、ごめん、なんか久しぶりに話せて嬉しくて、、」


「、、もう遅いんだから帰らないとだろ。」


勇輝の言うとおり、なんだけど、


次会った時また素直になれなくなってしまうのではないか、


そしたら次こそ昔みたいに戻れないのではないか、


いろんな不安な気持ちになってしまう。


「、、あはは、ごめん困らせて。そういえば昔もよく帰りたくない、まだ遊びたいって言ってお母さん達を困らせてたよね。」


「、、、、、、帰りたくないとか簡単に言うなよ。」


「え?ごめん聞こえなかった。もう1回言って?」


「なんでもねぇよ。」


??なんて言ったんだろ?


「、、なぁ、遊びたりないなら明日、2人で祭り行かね?」


「いいの?!」


「予定入ってないなら」


「行く!勇輝といっしょに夏祭り行く!」


「ふはっ、お前なんも変わんないな。」


「嬉しい!楽しみ!あ、でも浴衣一着しか持ってないから今日と同じになっちゃうな。普通の服にしようかな。」


「いや、大変じゃなかったらもう1回着て欲しい。次は会ってすぐに褒めたい。」


ううっ、なんか素直になった勇輝が甘い、、、


ドキドキしちゃうじゃん。


「それじゃ、明日迎えに行くから家で待ってて。おやすみ。」


「おやすみなさい、また明日。」


家に入る。


玄関でズルズルとしゃがみ込んだ。


「うぅ〜〜」


顔が熱い、靴箱にある鏡に映る私の顔がりんごみたいに真っ赤だった。


「全然はなちゃんみたいな可愛い顔じゃないじゃん。」


この熱は冷めそうにない。


「明日、楽しみ。」




            〜完〜
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