黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
「植物が黒く枯れ始めた騒動をご存知ですか?」

「ええ、もちろんです。我が領地の畑が被害に遭っております!」

「なぜだか分かりますか?」

「それは『黒髪の聖女様の呪い』により、また風土病が流行り始めたからでは?」

「…ほう」

「そうですわ!呪いはこの王国にかなり拡がっているそうではないですか!ついには神殿の庭園にまで被害が及んでいると!」

「…それは私も報告を受けたばかりで、まだ公にはなっていない情報だと思うのですが、シャレー侯爵夫人は随分と詳しいですね」

「た、たまたまですわ!私も聞いたばかりで!」

「それは誰からでしょうね。後で詳しく教えていただきましょう」

「マリー? 一体どういうことだ?」

「さ、さぁ? それよりもあなた!」

「あ、ああ。ウィリアム殿下!本日は我が娘フローレンスとの婚約の話ではなかったのですか!?」

「……なぜそう思われるのでしょう? 私にはすでに婚約者がいます。この王国の外務大臣ともあろうあなたが、なぜそれをいつまでも理解しないのですか?」

「ですが!黒髪の娘などがこの先、この王国の王妃など!国民がついていくはずがありません!この王国が呪われてしまいます!現に畑は黒くなり、領民も怯えております!」

「だからあなたの娘にしろと?」

「そうですわ!フローレンスこそ、この王国の輝かしい王妃になるべく美しさと教養を身に付けさせてきましたわ!」

「それはおかしいですね。王妃は時間に遅れるような人でも構わないということでしょうか?」

この場にいないフローレンスのことを指摘する。

「そ、それは!」


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