14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
七、二度目のセクハラに



 月曜日の朝、混雑している電車で会社に向かっている。

 大和さんからキスされたことを頻繁に思い出してしまう日曜日だった。

 あやめの言った通り、彼をどんどん好きになってしまったら、辛い思いをするだろう。

 昨日、あやめにお見合いの件をメールしたが、彼女からは【心配しないでいいからね】と、返事が来た。

 あやめなら大丈夫だろうと思うものの、やはり心配でならない。

 でも、そろそろ断りの連絡を入れなければ、宮崎家は忽那家との縁をさらに期待をしていくはず。

 そんなことを考えながら社屋に足を運んだので、先週までと違う自分だとはすっかり忘れていた。

 愛華さんにはヘアサロンへ行く予定だと話していたので、彼女が「おはようございまーす」と部屋に入って来ても、彼女はニコニコして席に着いた。

「紬希さん、いいじゃないですかぁ。とても似合っていますよ」

「ありがとう。まだ慣れないから鏡を見たときに違和感があるんだけど」

「かわいいです。そうだ! 今度飲み会のメンバーに入りませんか? 一流企業の男性たちと食事するんですが、紬希さんが参加したらきっと声をかけられますよ」

「え? う、ううん。そういったのは苦手だから」

「あ! なるほど。腑に落ちました」

 愛華さんは両手をパチンと打った。

「腑に落ちた……?」

「はい。好きな男性か、お付き合いしている人がいるんですね? だからどんどん綺麗になっていくんだわ」

 たしかに二年間も目立たないようにおしゃれをしていなかったからわかりやすいだろう。

「そういうこと……かしら……」

「きゃっ、認めたんですね。紬希さんの彼氏さんはどんな人ですか? どこに勤めているんですか? 年齢は?」

「ちょ、ちょっとストップ。片思いだから」

「そうだったんですね。その姿見たら、お相手の男性も紬希さんを好きになりますよ。かわいいですもん。課長、おはようございまーす」
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