14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 車はホテルの地下駐車場のスロープを下って行く。

「総務課で私が給湯室にいると言った女性です」

 彼女しか私が給湯室へ行ったことを知らないだろう。

「ああ。ロビーで会ったな。帰り際の彼女に紬希がどこにいるか聞いたんだ」

 愛華さんは突然専務取締役が来て驚いただろう。

 空いているパーキングスペースに車を止めてから、大和さんは私の方へ体を向ける。

「紬希は彼女より可愛いよ」

「ええっ? い、いきなり何を……お世辞はやめてください」

 慌てふためく私に、彼は楽しそうに笑う。

「まさか、元の姿に戻ろうかと考えたりしているんじゃないか?」

「さすがにそれはないです。戻ったら負けのような気がします」

「それでいい」

 大和さんの手のひらが頭の上に乗る。

 お世辞は私を元気づけさせるためだったのね。

 ご両親が予約を入れてくれていたフレンチレストランは、カーディガンとスカートの通勤着よりももっとおしゃれな服を着るようなところだった。

 白いグランドピアノではノースリーブドレスを着た女性が静かに演奏している。

 ドレスコードがあるようなレストランかもしれないが、支配人らしき黒服を着た年配の男性はにこやかに大和さんと挨拶を交わし、窓際のテーブルに案内した。

 白いテーブルに円筒形のグラスに入ったキャンドル、かわいらしくまとめた花まで飾られている。

 椅子に座ってふたりきりになると口を開いた。
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