14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 ふいに肩に腕が回って抱きしめられてビクッと肩が揺れる。

「こ、公園で、だ、抱きしめないで」

 慌てて体を離そうとするが、その腕は解かれない。

「いいだろ。誰もいないし。理由はわかったからもう謝らないでいい。本当のところ、出会って一緒に過ごしている間もずっと問い詰めたかったよ。だけど世間知らずのあの頃の俺じゃない。事情があったのだろうと。正体を明かすのはこの場所しか思い当たらなかった」

「偶然が重なって会えたなんて……本当、奇跡……」

「紬希が見合いに現れたのには、腰が抜けるほど驚いたが、それがなくても捜して会おうとしていたんだ」

「え……?」

 顔を上げて大和さんを見遣ると同時に体を離す。今度は簡単に腕が解かれる。やっぱり公園で抱き合うのは相応しくないと彼も考えたのだろう。

 そのとき、五、六人の小学生と思われる子供たちが現れて、賑やかにブランコの方へ走って行く。

「座って話そうか」

 あの頃、いつも座っていたベンチに向かう。
 シンプルな木のベンチは、今は深緑色に塗り替えられていた。
 色々話をして過ごしたベンチに腰を下ろす。

「俺がニューヨークへ行ったのは、母が再婚したからなんだ。今の光圀商事社長の忽那氏だ」

「あ……、だから苗字が……」

「紬希は俺と会っていてあの時の大和だと気づかなかったのか? そう思うと同時に約束は破られるし俺のことなんて忘れているのだと気になったよ」
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