14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
十一、傷心からの展開



「この飛行機は間もなく羽田空港を定刻通り十一時に離陸予定でございます」

 案内されたファーストクラスのゆったりとした座席で、キャビンアテンダントのアナウンスが聞こえてくる。

 電車が人身事故で乗り換えをし遅くなってチェックインしたので、搭乗口でキャビンアテンダントに案内された座席がファーストクラスだなんて、腰を抜かすほど驚いた。

 個室仕様で周りの目を気にせずにニューヨークまでのフライトはゆっくりできてうれしいが、ここまでされると大和さんの罪滅ぼしではないかと思ってしまう。

 それでも初めてのファーストクラスは落ち込んだ気分を少しだけ上げてくれる。

 到着したら話し合って、翌日には帰国? ううん。せっかくなんだからニューヨーク観光をしてから帰ろう。
 大和さんにフライトを取ってもらわなくても、リーズナブルなホテルやエコノミークラスなら出せるもの。

 せっかくならファーストクラスを楽しまなきゃ。

 ベッドにもなるラグジュアリーな座席に腰を下ろして、置かれていた黒のポーチを手にする。
中には基礎化粧品などのアメニティが入っていた。
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