14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「さすがAAN。アメニティがハイブランドだわ」

 キャビンアテンダントが現れ、飲み物を聞かれてオレンジジュースを頼む。
 すぐに届けられると、シートベルト着用サインが出る。装着して十分後、旅客機はゆっくり動き出した。
 飛行機は滑走路の上を、グングンスピードを上げて振動もなく飛び立った。

 水平飛行になって機内アナウンス後、食事が提供される。
 洋食を選び、普段食べないキャビアなども平たい瓶で出され、まるで最高級レストランのように一品ずつキャビンアテンダントが運んでくる。
 温かいものは温かく、冷たいものは冷やされたままの料理は機内での提供が信じられないほどだ。

 食事が終わっても映画を見る気もなく、座席と窓の間にある棚に片手を置いて顎を乗せ、雲をぼんやり眺めていた。

 大事なのは大和さんの気持ち。愛しているからこそ、彼がこの先も輝けるようにしたい。
 大和さんが誰にも文句を言われずに社長になれるとしたら、優里亜さんが妻になるのが一番いい。

 ほぼ寝て過ごしたフライトは、ニューヨーク・ジョン・F・ケネディ国際空港に定刻の十分遅れで十一時五分に到着した。

 入国審査、荷物受け取りを済ませて到着ロビーへ出る。

 到着ロビーで待っていてくれと、メッセージをもらっており、これから大和さんと顔を会わせるのだと思うと不安に駆られている。
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