14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 雪が降りそうなくらいの曇天でとても寒い。

 少しして車は道路際に止められた。

「紬希さん、ホテルに着きました。すぐそこはセントラルパークです」

 外側からドアマンが後部座席のドア開け、車外へ出る。

 ホテルに入り、キャリーケースを引いてくれる田中秘書はロビー奥の【Only the
Owners】のドアを開けて私を促す。

 オーナーしか入れないドア……?
 私の疑問を感じたのか、エレベーターに乗り込ませてから口を開く。

「専務はこちらのホテルの会員制レジデンスに部屋を持っています」

「そうだったんですね」

 結婚を約束しているのに、そんなことも知らなかった……。

 エレベーターは一気に五十階まで上昇して止まった。

 前を歩く田中さんに案内されている中バクバクと心臓が大きく暴れ、酸欠状態になりそうなほどだ。

 ドアを開けてキャリーケースを玄関に入れ「どうぞ」と手で示される。数歩中へ入ると背後でドアが閉まった。

 廊下もそうだったけれど部屋の中も南国みたいに暖かくて、コートを脱ぎ用意されているスリッパを履いて部屋の中へおそるおそる進む。

 一面のガラス張りの窓の前に背を向けて大和さんが立っていたが、私の気配に振り返る。

 今までビジネスをしていたと田中秘書が言っていたので、着替える間もなかったのだろう。もしくはこれから仕事なのかも。
 大和さんはチャコールグレーのスーツ姿のままだ。
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