14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 クラスの女子とも挨拶程度の会話しかしないし、頻繁に話しかけられたり、バレンタインデーなどでは処分に困るほどのプレゼントをもらったりするが、そっけない態度が面白く思われ距離を置かれる。

 しかし、俺の寄せ付けない態度にもかかわらず、紬希は話をどんどんふってくる。翌週には明るい彼女に惹かれ、放課後が楽しみになっていた。


 もうすぐ期末テストがあるが、その頃には近くの図書館で苦手だという数学や英語を教えると、試験が終わってから数日後、紬希は満面に笑みを浮かべて現れた。

 俺の教え方が良かったから、クラスで二番目の成績になったとうれしそうに話してくれた。

「ありがとう! 大和君はどうだった?」

「俺もまあまあだった」

「え? まあまあ……? 私に教えてくれたから、大和くんが勉強する時間がなかったとか……?」

 申し訳なさそうな瞳で見つめられると、ドキドキしてきて慌てた。まだ恋を知らない中学二年生は、純粋に紬希の表情に魅了されていた。

「大和君、ごめんなさい」

「別に謝らなくていいよ。まあまあというのはいつもと同じって意味で、学年で俺の上に来る奴はいなかったから」

 そう言うと、紬希はキョトンとなり、間をおいてから言葉を把握した彼女はホッとしたように柔らかく微笑んだ。

「大和君ってそんなにすごい人だったの!? びっくり……あ、今日はお礼にクッキーを作って来たの」

 実は甘いものが好きではない。

 知り合ってまだ一カ月にもならない俺たちは好みの話をしたことがなかったのだ。

 だが、紬希が一生懸命作ってくれたのなら食べてみようと思った。

 ラッピングされた綺麗な缶に入った犬の形の一口サイズのクッキーがたくさん入っていた。
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