14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「ワンピース、ありがとうございました」

 セルフのレジ前で支払うと言っても「昨日の話、忘れたのか?」と、お財布を出させてくれなかった。

「紬希は明るめの服の方が似合うんじゃないかな」

「顔が暗いからですね? 眼鏡下さい。落ち着かないんです」

 手を差し出すと、眼鏡は戻されずに握られる。

「落ち着かない? 今まで忘れていたのに? 腹が減ったな。食事に行こう。何が食べたい?」

 たしかに今まで忘れていた。

「……何でもいいです」

「言ってくれた方がいい」

「じゃあ……ハンバーガーが食べたいです」

「俺が払うと思って遠慮しているのか? コース料理でもいいのに」

「ふふっ、素敵な恋人ですね。でも、違います。時々ジャンクフードが食べたくなるんです」

「OK。さっき見かけたレストランへ行こう」

 大和さんは出口に向かって歩き出す。

 ずっとニューヨークにいたって言っていたけど、大和さんは来たことがあるのだろうか。サクサクと迷うことなく歩いている。
 
 入った店はハンバーガーもいつも食べるようなのではく、本格的なパテが入った高さのあるものだったが、そのレストランにはタコスやケサディーヤ、ナチョス、その他の料理もあって写真がおいしそうで、メキシカンが食べたくなった。

 大和さんも私に賛同し、任せるという私に彼は適当に選んでくれた。

 私たちはノンアルコールビールを飲みながら、ナチョスを摘まむ。
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