14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「決まった?」

 ふいに背後から耳元で声がかかり、ドキッと心臓が跳ねる。

「い、今考えているところです」

 数歩、ぎこちなく大和さんから離れる。

 心臓がドクドク早鐘を打つのは突然だったからよ。

 早く決めよう。

 仕返しとまでは本気で思っていないが、綺麗なベビーピンクの襟付きシャツが目に入って手に取る。

 それから白Tシャツも選んだ。

「これにします。今と同じスタイルですが、男性の服装がわからなくて」

 彼に両方を見せると、楽しそうな笑みが広がる。

「自分はダーク色を選びたがるのに、俺には違うってことは、これの仕返し?」

 大和さんは自分が持っているレモンイエローのワンピースを少し掲げてみせる。

「ち、違います。これ、きっと似合うと思って」

「ふーん、そうなんだ。俺のこと、わかってるな」

 首を振りつつ否定すると、彼は訳知り顔でニヤッと笑う。

「じゃあ会計を済ませて着替えさせてもらおう。少し寒くなってきた」

 私も実のところ、少し寒さが不快だった。エアコンで冷えてきたのかもしれない。

 着替えを済ませてから、レモンイエローのワンピース姿で大和さんの前に立つ。彼も白Tシャツにベビーピンクのシャツを羽織っている。ブラックジーンズはそのままで。胸ポケットに黒縁眼鏡が入っていた。
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