14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 入り口で予約の宮崎を名乗ると、すでにあやめは到着していてテーブルに案内される。

「紬希、おつかれ~」

 私の姿に、四人掛けのテーブルに着いていたあやめは軽く手を振る。

「お疲れ様」

 彼女の対面の椅子を引かれて座り、隣の椅子にバッグを置く。

「忽那さんの件は本当にありがとう! 助かってるわ」

「テツヤさんとは上手くいってる?」

「もちろんよ。週末の外出は忽那さんと会っていると両親は思っているわ」

「社長令嬢もはたから見れば恵まれているように思われるけど、大変よね」

 そこへスタッフがテーブルにやって来て、私たちはディナーコースと白ワインをオーダーし話を続ける。

「あ、これお土産。渡すのが遅くなってごめんね」

 あやめにショッパーバッグを差し出され受け取る。中にたくさん入っていて目を丸くするが、あやめらしいと思った。

「こんにゃくに、ひもかわうどん。お菓子もおいしそう。ありがとう」

「紬希にしてもらったことに対してこれだけじゃお礼にならないわね。ここは私がもつからどんどん飲みましょうよ」

「ううん。忽那さんは思ったより良い人よ。将来的にはテツヤさんより――」

「そこまで、そこまで」

 あやめが綺麗にメイクした顔を顰める。
< 61 / 208 >

この作品をシェア

pagetop