14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 普段も格別に綺麗な女性とまではいかないが、会社では化粧っ気のない顔に黒縁眼鏡をかけ、サラサラの肩甲骨まである黒髪はうしろでひとつに結び、服装もダークカラーで地味に徹している。

 黒縁眼鏡を外してドレッサー代わりに使っている洗面所へ行き、置いてから戻る。

 あやめはショッパーバッグから取り出したフードパックを無造作に置いている。

「今日はハワイアン料理にしてみたの。会社の近くにキッチンカーがあっておいしそうだったから」

「ハワイアン料理?」

 彼女のいつもの定位置である窓側の座布団に座ったあやめに首を傾げる。

 ガーリックシュリンプくらいしか知らない。

「食べるとハワイへ行きたくなっちゃうわよ。あ、グラスをちょうだい。グアバジュースもあるのよ」

 グアバジュースの缶をふたつ出している。

 グラスを取りにキッチンへ歩を進め、氷を入れて戻った。取り皿も忘れずに二枚持っている。

 ローテーブルの上が、南国のような雰囲気になっている。

「わー、これ絶対おいしいね」

 手を伸ばしたあやめにグラスを渡し、彼女の対面に腰を下ろす。

「これはガーリックシュリンプ、殻ごと食べられるわ。こっちはアヒポキで、アヒはマグロのことなの。ハワイアンソルトや醤油、ごま油……あとはわからないけれど、キッチンカーのナンバーワンだって店主が言っていたわ」
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