ブランカ/Blanca―30代女性警察官の日常コメディ
 オールラウンダーになると疲れるだけだ。利用される。重圧もある。だが葉梨ならやれると岡島は思ったのだろう。

「葉梨はお酒は強いの?」
「弱くはないと思います!」

 葉梨の事は調べてある。彼はとても有能らしい。警察官としての能力はもちろんの事、彼は性格も良くて温厚だそうだ。

 警察官になったきっかけは高校生の時に駅の改札口で警察官にスカウトされ、警察官を目指したのだと言う。
 私はそれでいいのかと思ったが、警察官によるスカウトは大切だ。私も新人の頃にスカウトして来いと言われて女子高生に話しかけたが、親からクレームを食らった。少し、悲しかった。

 葉梨は元々刑事課所属だったが、ある事件をきっかけに生活安全部への転属が決まった。松永敦志(あつし)さんの事件だ。


「じゃあ、乾杯しよう」

 岡島が音頭を取り、私達はグラスを合わせた。
 それから暫くすると、女将さんは料理を持って来た。

「はい、どうぞー!」

 テーブルの上に並べられた皿を見て、皆驚いた。

 ――これは、多すぎだろう。

 カニが丸ごと置かれ、さらに刺身が山のように盛られている。他にも薩摩揚げや揚げ物、大きなエビフライも添えられている。

 ――でも全部、人数分、無い。

 岡島は意地悪だなと思うが、葉梨が何とかするだろう。

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