ブランカ/Blanca―30代女性警察官の日常コメディ
 横目で相澤を見ながら、私は岡島に聞いた。葉梨の件はどうなったのかと。

「葉梨の件、教えてよ」
「ん? ああ、もう山野とは会ってないよ」
「そうなんだ」
「けっこうね、葉梨は本気だった」
「えっ……」

 岡島は妹の麻衣子さんの事を言って山野を諦めるように言ったが、葉梨は聞き入れなかったと言う。岡島は山野に関する事実は言えず困り果てていた所に、もう連絡を取っていないと本人から申告があったそうだ。

「俺も調べたけど事実だった」
「そう」

 山野の件はもう私のせいではないと松永さんは言うが、違うだろう。葉梨の新しい恋も叶わなかった。

「奈緒ちゃん」
「なに?」
「葉梨がさ、麻衣子さんから手紙を預かってきた」
「もしかしてラブレター?」
「うん」

 官僚もずいぶんと思い切ったなと思うが、恋する麻衣子さんならばそうするだろう。

「で、どうすんの?」
「……どうしよう」
「もうこの際だからさ、麻衣子さんの瞳を逮捕してきなよ」
「何言ってるの?」

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