ブランカ/Blanca―30代女性警察官の日常コメディ
「加藤はすっごく真剣に悩んでたんですよ」

 ――いや? そうでもないよ?

「売場を行ったり来たりして」

 ――レジの場所が分からなくて。

「俺と岡島のチョコなんて適当に選んでたのに」

 ――それは事実。

「チョコを選んで、それを手に取った時にはにかんだ笑顔していたんですよ?」

 ――多分それは自分用に買った高級チョコです。

「上司に渡すチョコレートを真剣に悩んでたんですよ? そんないじらしい部下に二万くらいは良いじゃないですか」

 ――さあ、上司のチンパンジーよ、答えをどうぞ!

「しょーがねぇーな! 買ってやるよ!」

 ――チョロい。チョロ過ぎる。

 私は初めて、チンパンジーが上司で良かったと思った。

< 170 / 257 >

この作品をシェア

pagetop