ブランカ/Blanca―30代女性警察官の日常コメディ
 私は今、ちんまりとしたパフェを頬張る葉梨を見ている。

 ――可愛いな。

 葉梨が手に持っているからちんまりとしているように見えるが、パフェは普通サイズだ。
 甘い物は好きなのかと問うと笑顔で頷いた。約束したスイーツブッフェは楽しみにしていたそうだ。

「岡島さんがスイーツブッフェの話をずっとしてます」
「ん?」
「ブラウニーが美味しかったそうです」
「んふふふっ……」

 あの日、相澤がいた事で予定より早くスイーツブッフェを後にした。
 岡島はスイーツブッフェを楽しみにしていたから、ちょっとだけ不満そうだった。

「あのさ、麻衣子さんは、その後どうしてるの?」
「えっと、岡島さんの件、ですか?」
「うん」

 岡島は麻衣子さんからラブレターをもらったと言っていた。あれからデートの約束でもしたのだろうか。

「岡島さんと文通してます」
「ブフッ!」

 ドリンクを飲んだ瞬間に想定外の事を言われてむせてしまった。恥ずかしい。

「大丈夫ですか!?」
「んっ、ンフ、うん、うん、大丈夫……」

 葉梨は岡島から手紙を預かり、麻衣子さんに渡したという。葉梨は岡島が断ったのだと思っていたが、翌週、官舎の郵便ポストに妹から岡島宛に届いた手紙があり驚いたと言う。
 岡島はレターセットと郵便局でグリーティング切手を買い、文通が始まったそうだ。

「メッセージアプリで良いんじゃないの?」
「俺もそう思います」
「だよね」
「んふっ……」
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