ブランカ/Blanca―30代女性警察官の日常コメディ
 葉梨へ家に着いた事と今日の御礼をメッセージで送ったが、返事はすぐに届いた。

『遅くまでお付き合い頂いてありがとうございました。喜んで頂けて何よりです』

 ――葉梨は薔薇の意味を、聞いて欲しいと思っているだろうか。

 でも、聞いたら負けかなと思う。ならば薔薇一輪の事を聞いてみよう。

『カフェの白い薔薇一輪は本当に女性客へプレゼントしていたものなの?』

 あのカフェが本当に一周年記念で女性客に配っていたのなら、前提は崩れる。
 もしそうなら、私は後輩に慕われる先輩として、今日の事は良い思い出のままに出来る。そうでないのなら――。

『違うと言ったら未来は変わりますか?』

 ――そう来たか。

『葉梨の誕生日はいつ?』

 白い薔薇に葉梨は意味を込めた。ならば私のメッセージだって、意味を込めても良いだろう。

『十一月二十九日です』
『いい肉』

 葉梨の誕生日はもちろん一緒に過ごすつもりだ。私の誕生日を祝ってくれたのだから。
 だが、その時の私たちの関係がどうなっているのかは、わからない。

 ――だって、未来は誰にもわからないのだから。

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