ブランカ/Blanca―30代女性警察官の日常コメディ
午後九時四十四分
自宅に戻った私は風呂に入ろうと洗面所に行くと手に持ったスマートフォンが鳴った。画面を見ると葉梨からメッセージだった。
――官舎に戻った時刻、だ。
葉梨は官舎とは逆方向へ行ったが、こうしてまっすぐ官舎に帰った場合の時刻にメッセージを送ってきた。ならば仕事ではなくプライベートだったのか。
――なぜこんな事をするのだろうか。
私はリビングに戻り、電話のアイコンをタップしてチンピラ岡島に電話を掛けた。
呼出音がして、三回鳴った時に岡島は出た。
「もしもーし! 奈緒ちゃんから電話くれるなんて嬉しいなあー」
「あの……」
「あははっ! 奈緒ちゃん元気そうだね!」
岡島は車内にいて、誰かいる。公用車だろうか。
私に違和感を覚えたのか、ドアを開ける音がして、岡島は車から出た。静かな場所だ。衣擦れの音がする。少し移動したようだ。そして岡島は声をひそめて言った。
「奈緒ちゃん、どうしたの?『バカなの』って言わないの? 体調悪い? 何か嫌な事でもあっ――」
「あの、会いたい……だめ?」
「えっ……」
自宅に戻った私は風呂に入ろうと洗面所に行くと手に持ったスマートフォンが鳴った。画面を見ると葉梨からメッセージだった。
――官舎に戻った時刻、だ。
葉梨は官舎とは逆方向へ行ったが、こうしてまっすぐ官舎に帰った場合の時刻にメッセージを送ってきた。ならば仕事ではなくプライベートだったのか。
――なぜこんな事をするのだろうか。
私はリビングに戻り、電話のアイコンをタップしてチンピラ岡島に電話を掛けた。
呼出音がして、三回鳴った時に岡島は出た。
「もしもーし! 奈緒ちゃんから電話くれるなんて嬉しいなあー」
「あの……」
「あははっ! 奈緒ちゃん元気そうだね!」
岡島は車内にいて、誰かいる。公用車だろうか。
私に違和感を覚えたのか、ドアを開ける音がして、岡島は車から出た。静かな場所だ。衣擦れの音がする。少し移動したようだ。そして岡島は声をひそめて言った。
「奈緒ちゃん、どうしたの?『バカなの』って言わないの? 体調悪い? 何か嫌な事でもあっ――」
「あの、会いたい……だめ?」
「えっ……」