ブランカ/Blanca―30代女性警察官の日常コメディ
 午後八時九分

 岡島と私の行きつけのバーに来たのだが、そこにむーちゃんのもう一人の弟である松永敬志さんがいた。

 このバーは四年前に松永さんに連れて来られた店で、松永さんの息が掛かっているバーだ。松永さんがいてもおかしくはない。

 扉を開けた瞬間、店の一番奥にあるハードダーツボードの両脇にあるテーブル席にいた松永さんに気づいた。カウンターの中にいたバーテンダーの望月さんを見ると、少し様子がおかしい。彼と目が合うと、彼は松永さんに目をやった。
 松永さんは私にハンドサインを送っている。岡島は松永さんに気付くと体を強張らせたが、ハンドサインには気づいていない。松永さんは三十分で終わらせる、という意味のハンドサインを私に送っているが、むーちゃんの弟は完全にキレている――。

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