ブランカ/Blanca―30代女性警察官の日常コメディ
第9話 カスタネットと二万円とイイ女と
午後八時四十三分
松永さんによるお説教はきっちり三十分で終わり、会計を済ませた松永さんは店外に岡島を呼び、話している。
バーテンダーの望月さんはテーブル席に残された私のそばへ来て、「松永さんから二万、預かってます」と言った。続けて「食事は?」と問うが、今は何も考えられない。「連れと相談します」と伝えると、笑顔の望月さんは「はい」と答えてカウンターへ戻った。
――カスタネットも、バレていた。
三回目の時だった。私はカスタネットを右手に持ち、右腕を上げて、曲に合わせてひたすら叩いていた。やはりカスタネットも報告されていたのか――。
だが後輩がカスタネットを叩いていたと報告された松永さんの哀しみを考えたら、少しだけ、恥ずかしさは減った。
松永さんによるお説教はきっちり三十分で終わり、会計を済ませた松永さんは店外に岡島を呼び、話している。
バーテンダーの望月さんはテーブル席に残された私のそばへ来て、「松永さんから二万、預かってます」と言った。続けて「食事は?」と問うが、今は何も考えられない。「連れと相談します」と伝えると、笑顔の望月さんは「はい」と答えてカウンターへ戻った。
――カスタネットも、バレていた。
三回目の時だった。私はカスタネットを右手に持ち、右腕を上げて、曲に合わせてひたすら叩いていた。やはりカスタネットも報告されていたのか――。
だが後輩がカスタネットを叩いていたと報告された松永さんの哀しみを考えたら、少しだけ、恥ずかしさは減った。