ブランカ/Blanca―30代女性警察官の日常コメディ
 警察学校を卒業する前だった。
 岡島は私に好意を寄せていると伝えて来た。学校時代の彼は背が高くて痩せ型の男の子だった。日焼けした精悍な顔立ちでモテるだろうなと思ったが、私は膝カックンされた事を恨んでいるので断った。

 今の彼は、時代は令和なのに昭和のチンピラスタイルだ。どこで売ってるのかも分からない絶妙な柄のテロテロしたシャツにスラックス、そしてオールバック、そして金のネックレスでテンプレのようなチンピラスタイルだ。だが体格の良くなった岡島にはよく似合っているから、私はそれだけは認めている。

「裕くんがいるなら良いよ」
「うん、俺も行くよ」

 新人の頃の指導員だった玲緒奈(れおな)さんは、今でも私を監視している。私も三十を過ぎたのだし、いい大人なのだから良いだろうと思うが玲緒奈さんは心配だと言う。同業との飲み会には必ず裕くんと行け――。

 ――裕くんが私の気持ちに気づいてくれたらな。

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