【SS集】きゅん、集めました
「に、苦手じゃないよ。マイペースなところ、いいなって思う」
「ふーん?で、チョコは?」
「えっ?も、持ってない、です」
私、どんなふうに見られてたんだろう、と思っていたら、予想外の返答が。
チョコ、持ってきたほうがよかったのかな?
黒瀬くんは目にかかる ぬれ羽色の髪の下で、眉根を寄せて「なんで」と不満そうに言った。
「黒瀬くん、去年たくさんチョコもらってて大変そうだったから…チョコの代わりに、告白しようと思って」
「…ふはっ。そー?じゃ、白鳥本人が俺にくれるチョコってこと?」
ふわっと屈託のない笑顔に変わった黒瀬くんを見て、思わずほおが熱を持つ。
みんなが自分に向けて欲しいと願って、黒瀬くんを笑わせようとがんばっているのに、たまにしかお目にかかれない笑顔が。