【SS集】きゅん、集めました


「そ、そういうことになる…の、かなぁ…?」




 “私本人”なんて言い方をすると、なんだかちがうような気もするけど。

 首を(かし)げつつ答えると、黒瀬くんはいたずらに ほほえんで私に近づいてくる。




「じゃあ、もらお。食べていーの?」


「た、食べるっ!?い、痛いのはちょっといやかも…っ!」




 まさか かじられたりはしないよね…っ!?

 半歩あとずさると、黒瀬くんは私のほおを両手で包みこんで顔を寄せた。




「痛くないよ」


「えっ、ん――!」




 ふにっと、唇にやわらかいものが重ねられて、体温が急上昇する。

 ちゅ、ちゅ、ちゅ、とついばむように ふれてくるそれが、どんな意図(いと)を持っているのか。
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