【SS集】きゅん、集めました
 レナードくんは、高等部に入学してすぐ、暴力ざたを起こした乱暴者とうわさ されている男子。

 学園の検査で、私たちがおたがいの魔法使いとパートナーだとわかり、初めて顔を合わせたときも…。

 レナードくんはあいさつをすることもなく、いきなり私にキスをして、魔法の使い心地(ごこち)をたしかめていた。


 だから、彼には苦手意識があったのだけれど。

 舌を刺激(しげき)するこの甘酸っぱさがレナードくんみたいだな、と思って、ふと、片方のひざを立ててあぐらをかいている彼を見る。

 大きく口を開けて、ガブッとサンドイッチをかじっているその横顔とは、目が合わなかった。




「レナードくん」


「…なんだ?」




 彼は唇についたお肉のタレをペロッとなめとりながら、横目に私を見る。

 するどい目つきがすこし こわかったのは、昔の話。
< 18 / 34 >

この作品をシェア

pagetop