【SS集】きゅん、集めました

　わたしに、専属の執事が？




「はい。…主人に仕(つか)えることができる日を心待ちにしていました。僕のお嬢さま…」




　槙野は かがんでわたしの手を取ると、ちゅっと甲にキスをした。

　びっくりして体を起こせば、槙野はパッチリとした瞳をたれ目と見紛(みまご)うほどにやわらかく細めて、ひざまずいたままわたしを見上げる。




「精いっぱいご奉仕(ほうし)いたします。なんでもご下命(かめい)くださいね」




　どきん、と胸が高鳴る。

　ほおにじゅわりと熱がにじむのを感じた。




「おや…お顔が赤いですね。失礼いたします」


「え…？あ、待っ…！」




　立ち上がった槙野は、シーツに手をついて、こつんとひたいを重ね合わせた。

　伏せられた目の下で、長いまつ毛がきれいにカールしていて。




「ふむ…やはり熱があるご様子。医者を呼んで参りましょう」


「わぁ、ちがうの！これは熱とかじゃなくて…っ！」