ノア様の愛のいじわる
「瑠璃ちゃん」
野愛が下の名前で呼ぶ女の子は、わたしだけらしい。
そこに特別な意味なんてないことは、この扱いでわかる。
堂々と【皇帝】らしくこの一室を自分のものにしている彼には、学園内にたくさんのファンがいる。
外ではキラキラの笑顔を振りまいていて、女の子にキャーキャー言われてるくせに。
わたしにだけ、まったく態度が違うのだ。
「るーりーちゃん」
いじわるな甘い笑み。
頬杖をついても何をしても画になるのは、本当にずるいと思う。
「……瑠璃ですけど、何か?」
まったく可愛くないわたしの返事にも構わずに、野愛はさも楽しそうに会話を続ける。