あの頃言えなかったありがとうを、今なら君に
「⋯わかった、いただく。でも貰いっぱなしって癪だから盛岡も何かない?」
「ねぇな。⋯まぁ、それだと山形の気が済まないだろうから適当に返してくれ」
「適当って⋯」

そんなアバウトな、と抗議しようと思った時にはもう盛岡は事務室を出るところで。

“本当に強引なんだから⋯!”
彼のその態度に少し苛立ちつつも紙袋の中のお弁当はやはり美味しく、私はこの借りを何としてでも返すことを決意しながらペロリと全部食べたのだった。
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