あの頃言えなかったありがとうを、今なら君に
「わぁったよ、けど何かあったらすぐ電話しろ」

それだけ言い、同じ社名同じデザインの名刺の裏にさらっと何かを書いて渡しそのまま真っ直ぐ帰ってしまった。

“はぁ?なによアレ”

なんて考えながら名刺を捲るとそこには電話番号が殴り書きされていて。

「⋯これ、あいつのプライベート番号?」

うわ、いらな!
なんて思いながら、仕方なく登録した事を今でも覚えている。




「ー⋯ほんと、ぶっちゃけずっと嫌いだったんだけどなぁ」

ふ、と思い出し思わずクスリと笑ってしまった私は、コーヒーを温めるのを止めてそのままレンジから取り出した。

“そういや他にも怒られたわね⋯”
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