愛を私にください 〜愛されたい姫〜
「聞いてんのかっっ‼」
奈也のでかい声で現実世界に帰らされた。
「聞いてなかった。」
煽るようにそう答えると奈也は顔を真赤にさせて私に殴りかかってきた。
喧嘩は得意だ。
―好きではないけど。
パシッ。
奈也の拳を掴む。
弱い。
昔のコイツラも弱かったけど、今のこいつらはもっとよわい。
もう、私には関係無いけど…。
「っ、うぅっ…。も、ういいよ…。ここにいるの怖いし、あっち、行こ?」
礼美が優しい女を演じるかのように言った。
「礼美は優しいね。」
「チッ、奈也行こう。こいつと話してるとイライラする。」
理緒が言う。
…別にあんたとは話してないけど。
「…あぁ。」
奈也は短く答えた。
今回はなんとかやり過ごせた…。
けど、礼美が次どのように仕掛けてくるかわからない。
次は雄心や亜嵐、直樹に音夢まで奪われてしまうかもしれない。
それが一番怖い。
いつか私の周りには誰もいなくなってしまうんじゃないかな…って。
…こんな事考えないでおこう。
とにかく今私は直樹たちが大事なんだ。
私が、
―守らないと。
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