愛を私にください 〜愛されたい姫〜

悔しい。

side礼美
あー、イライラする。
お姉ちゃんがいなくなってから家庭の状況が悪くなってる。
今まではお姉ちゃんがバイト代を家に全額振り込んでたから結構贅沢できてたのに、
お姉ちゃんが家を出てってからお父さんが会社をクビになって新しい会社入ったのに全然稼ぎ良くなんないし、
お母さんは贅沢ばっかりしてるし。
それもこれも全ッッッ部アイツのせい。
―スミレッ…!
せっかく王塁を奪ってやったのに姫を降ろされたときさえあいつの表情筋はピクリともしてなかった。
泣きもしなかったし、反論もしなかったし。
悔しい、悔しい、
あいつに嫌なことしたい
あいつの歪んだ顔を見たい。
お姉ちゃんはいつだって冷静。
周りからは「クールな美人」 「高嶺の花」とか言われてる。
悔しい。
私のほうが絶対可愛いのに。
でも本当王塁はイケメンだらけだなぁ♡
麻冬以外はみんな私に惚れてるしっ!
麻冬もいつか私に惚れるだろうし〜
見てなさいよお姉ちゃん。絶対絶対死にたくなるくらいに痛めつけてやる。

―奪ってやったのに…、
王塁を奪ってやったのにっっ!
なんでもう新しい仲間作ってんのよッッ!
しかもみんなイケメンだし…。
お姉ちゃんばっかり。
あー、うざいうざいうざいうざい。
―消えちゃえばいいのに。

朝、学校に行くとお姉ちゃんがいた。
いいこと考えた♪
お姉ちゃんとすれ違う際に私はわざとお姉ちゃんにぶつかった。
「うっ、スミレちゃん酷いよ…。ううっ…。」
嘘泣きは得意♪
てかみんなもバッカだよねぇ♡
こぉんな演技に騙されちゃうなんて。
私が泣くと、
「礼美⁉泣いてるの?大丈夫か??」
「またてめえかよ。」
「最低だな。礼美大丈夫?」
私を心配して駆け寄ってくる王塁。
見なさいよお姉ちゃん。
悔しがりなさいよ。
ふふっ。
でもお姉ちゃんが発する言葉は想像とは180度違っていた。
「別に何もしてない。てか話しかけんな気持ちわりい。」
目に光を宿さずに淡々とそう述べる姿に何故か恐怖心を
覚えた。
誰…?
確かにお姉ちゃんはいつも静か。
でも、怖くはない。
お姉ちゃんが違う人に見える。
奈也がお姉ちゃんに殴りかかった。
ふふっ、そうよお姉ちゃんなんか殴られちゃえ。

パシっ。
ところがお姉ちゃんは軽々と奈也のパンチを手で止めた。
は?
イライラする
これ以上お姉ちゃんを見ているともっと劣等感を感じる。
「っ、うぅっ…。も、ういいよ…。ここにいるの怖いし、あっち、行こ?」
私が泣きながら言うと
渋々受け入れてくれた
礼美は優しいねって言ってくれた♡
もっともっとわたしを愛してあの子を傷つけてよ。
あの子をいたぶって…♡
わたしの大事な
―王・子・様♡

礼美side end
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