転校から始まる逆ハーレム(本人に自覚なし)
「一之瀬、ちょっとぐらい気にしなくていいだろ?」
スポーツをしていそうなその男の人は軽く一之瀬さんを掴んでいる。
「こんなに多くの人が見てるんだ。生徒会長が見逃したら前例となってしまうだろう。」
生徒会長だったんだ!じゃあ見逃すのも良くないよね…
「君、放課後生徒会室に来なさい。」
「…はい」
「あとそこの君」
え?私?
「この中学生の姉を知っているんだろう?そいつを連れて生徒会室に来なさい。」
「わかりました」
咲ちゃんごめんね…
一之瀬先輩が去っていくと先ほどの男の人が声をかけて来た。
「悪い、止めれなかったな。あ、俺は3年の戸部海斗な。」
「えっと2年の日比野梨奈です。」
「…加賀美陸です」
「あいつにはあまり叱らないよう言っとくから気にすんなよ?」
「ありがとうございます!」
「っともうすぐホームルームの時間だな。引き止めて悪かった。放課後俺も行くから。またな。」
踵を返して戸部先輩は去っていった。
陸くんも
「…またね」
と言って中学校舎の方に走り去っていった。
戸部先輩面倒見のいいお兄さんって感じだったな。でも気にするなって言われたけど何を言われるんだろう。
そんな不安を抱えつつ教室に行くともうホームルーム直前だった。咲ちゃんと高梨くんは興味ありげにこっちを見る姿や、篠宮くんがほっとしたように笑っている姿がみえたのだけれど私が席に着くとすぐに先生が現れたので、声をかけられることはなかった。
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