花縁~契約妻は傲慢御曹司に求愛される~
「……キスを」


掠れた声が頭上から降ってきて、口づけられる。

キスに意識が傾いている間に彼の膝の上に乗せられ、太ももに片手が触れる。

再び背中を撫で上げられ甘い刺激にキスがほどけた途端、秘められた場所に彼の指先が触れて腰が跳ねた。


「あっ……」


零れ落ちた甘い声を聞き逃さず、じっくりと私の弱い場所を攻めて暴いていく。


「……痛い?」


恥ずかしさと快感に火照る頬を隠すように急いで首を横に振ると、甘やかすようにこめかみに唇が触れる。

乱れた吐息交じりの声が漏れ、お腹の奥が甘く疼く。

私を再び仰向けにして寝かせた彼が私の足の間に移動する。

秘められた部分を晒す恥ずかしさに、逃げを打とうとすると許さないとばかりに太ももの内側に口づけられた。

全身をここまで愛撫される濃厚な交わりは経験した記憶がなく、この先の自分の反応が怖くてたまらない。

真っすぐに私を射抜く妖艶な眼差しに、鼓動の高鳴りを抑えられない。

甘くも濃密な触れ合いに溺れ、体をシーツに投げ出し、しきりに熱い息を吐く私の涙を舌で掬い上げた彼の目には情炎の炎が煌めいていた。


「本気で可愛いな」


そう言って、再びキスを繰り返し、私の膝裏を抱え上げた。


「俺の願いを叶えて、頼むから」


優しく切なげな声に胸が詰まる。

入念に準備された場所に熱く張り詰めた彼自身が触れ、お腹の奥の疼きが大きくなっていく。

ゆっくりと侵入する楔に、呼吸が止まりそうだ。
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