別れさせ屋に依頼をした私の結末
寺尾に言われるまま、スマートフォンですすめられたゲームにログインしていると、

「あれ? 松山もいんじゃん」

寺尾を待たせていたというクラスメイトの並木(なみき)が、彼女との電話を終えて教室に戻ってくる。

「ちょうどよかった。お前もログインしろよ」

マチからの連絡を待つ間、3人で遊ぶことに。


「松山、ボスの前に立つと危ないよ。横に立つか、後ろに回ってから攻撃したほうが安全」

ゲームに慣れている寺尾が、戦闘中にアドバイスをくれるけれど、思うように指が動かず、スマートフォンを持つ手が汗ばむ。

「オッケー、横ね……。って、え……。私、死んだ?」

気がつくと画面は暗くなってて、自分のキャラクターが床に倒れている。

「突進くらって死んだね。……待ってて! 俺、蘇生できるから生き返らせに……。あ、俺も死んだわ」

魔法使いの服を着た寺尾のキャラクターが、そばへと駆けつけてくれたけれど、ボスから火を吹かれてしまい、同じように倒れてしまった。

「ちょっ、俺ひとりじゃ無理だって!」

ひとりで大きなボスと戦うことになった並木は、攻撃するタイミングがつかめないようで、ぐるぐる逃げ回っている。

「頑張れー」

「頑張ってー」

寺尾とふたりで、走っている並木のキャラクターを眺める。

器用に逃げ続ける様子が面白くて、ケタケタ笑っていると……。
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