別れさせ屋に依頼をした私の結末
「……?」
コロコロ変わる表情に首を傾げる。
すると、彼は一度おりた階段をのぼりなおし、私の前に来た。
同じ目線の高さで向き合った私たち。
目と鼻の先にある整った顔を、改めて「キレイ」と思っていると、
「“これ”でいい」
キングはそう言って、私の腕を掴む。
「えっ……」
グイッと引き寄せられたことで、足がふらつき、慌てていると、キングはもう片方の手で私の体を支え、間髪入れずにそのまま顔を近づけてくる。
――それは、一瞬の出来事だった。
「ちょっ……!?」
何かが頬に当たった。
真ん前に彼の首筋があったことで、その何かが何なのかは聞かなくてもわかる。
「な、何し……」
頬に残った感触を手で隠すと、態勢を戻した彼は軽薄な口ぶりで答えた。
「依頼達成の日まで、1日1キスね」と、いたずらに微笑んで。