クールな君の甘さを知れば【※表紙絵変更しました】
「…っ、それは…狡くないですか」
どんだけ余裕があるんだよ、と思っていたら。
「うん…悪い。正直、俺も余裕ねぇんだ」
そんな言葉とともに、表情を崩した九条先輩の素が垣間見えた気がして。
「…俺も、いつからとかはないですよ」
気づいたら、口からそんな言葉が出てしまった。
「キャパが狭いくせに、人のことを誰よりも考えてるとことか。それでいてどこか抜けてるから放っておけなかったり…。いつの間にか、目が離せなくなってました」
一気に話し終えたところで、ふぅ吐息を抜く。
素直な古賀への気持ちを、まさかこの人に1番最初に伝えるなんて思ってもみなかった。
ぽつりぽつりと話す俺を、ただ黙って聞いていた九条先輩。
視線を上げれば、その目はなぜか細く緩んでいて。
「…な、なんか言うことあるなら言ってくださいよ」
何も言わない先輩に、つい喧嘩腰っぽい口調で言ってしまった。
「いや…やっぱり、油断ならねぇやつだと思って」
「え…」
予想外の返事に思わず言葉に詰まる。
「そんなに海琴を思ってんのに、態度にも出そうとしない。そうやってひた隠そうとする奴は、いつかその思いが溢れて止まんなくなんだよ」
そう話す九条先輩の言葉には、妙に感情が乗っているような気がして。