逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「ままならないもんだな」
「ああ、思うようにはいかないもんさ」

 ・・・あの洞窟の状況を、シュテルツに伝えた。
 彼は瞠目して聞いていた。そして、
「やはりな、裏ではそういうことになっていたんだな」 

 ため息をついて頭を抱え込む。

 と、そんな様子に火をつけられたように、
「一番の問題は、あのグリンドラ王なのだ」
 ギロッと目を剥いた。

「おいお前、滅多なことを」
「あの方の元でどれだけ頑張っても先が見えている。頂点に立つ者の(うつわ)で方向が決まっていくんだからな」
 そうだろう、と言ってじっと考えていたが、

「政治とはな、国の皆をつなぐパイプのようなものだと俺は思うよ。それを無くして国を統治などできるものか」
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