逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
迫りくる危機
 王宮が騒然としている。
 バッハスの動きが逐一伝えられていた。

 彼らが敵対しているのはこのグリント―ルだけだ。事態が急変するのは明白だった。

「至急対策を講じるべきだ」
「国軍のハインツ閣下に連絡を取ったのか?」
「はい、ただちにこちらに参られるそうです」

 陣頭に立つべきは司令官のアーロンだ。誰もが彼を待っていた。

 やがてその家の馬車が入ってきた。

 大会議室に軍の参謀や諸侯がずらりと並び、片隅にはケイネ伯がいる。
 最上段の王座にはグリンドラがいた。

「アーロン・ハインツ閣下がおいでになりました」
 衛兵が告げた。
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