逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
山での秘策
 洞窟に侍女が駆け込んでくる。

「お嬢様、ヴェンからの知らせです。至急ここのみんなに相談したいことがあるそうなんですが・・」
「至急? 相談? いったい何かしら」
「なんでも、湖に関することだそうです」

 その声が終わらないうちに一つの影が近づいて来た。
 ヴェンではない姿だ、とっさに身構えた。

「・・え?」

 ロウソクの炎がその顔を照らし出した。
 
 若い青年が立っている。
 アーロンにそっくりな男だった。

「・・あなたは?」
「ああ、おれは・・いや、わたしは」

 青年はやわらかに笑い、
「アーロン様のご子息でいらっしゃいます」
 ヴェンが答えた。
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