逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 ワイトを部屋に呼んだ。

 地図を広げて何かを問いただすとワイトはうなずいて、
「大丈夫だ、問題ない」

 次に、家令を呼んだ。
「都の北側にカライルという商人がいるな」
「はい、彼はグリント―ルでも一・二を争う大商人ですが」

「かの者に交渉をしてくれ」
「何を、でございますか」

「あの屋敷の奥庭に、巨大な白い物体があるはずだ。それを買い取りたい」
「きょだいな、しろいぶったい、ですか?」
「早急に手配してくれ。奴はあの物体を持て余している、否とは言わないはずだ」

 家令はじっとアーロンを見た。何か言いたげだったが、その眼光に押された。
「はい、では早速カライルに交渉するように致します」
 アーロンがうなずいた。

「その物体を手に入れたら、この屋敷の庭に運び込んでくれ」
「かしこまりました」

 家令が深く頭を下げた。
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