逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「今日は最後まで食事をしてくれるのだろう」
 意味ありげにアーロンが笑っている。

 あの最初の日は、負傷兵が気になってわずかに口をつけただけだった。

「明日は君もレブロンの屋敷に行ったらどうだ。負傷兵らを出迎えたいだろう」
「はい」

「ソフィー専用の馬車を用意させている。だからいつでも出かけられるんだ。ほかに欲しい物、そうだなドレスとか宝石とかあれば注文させよう。とにかくここでの生活を楽しんでほしいのだ」

 ソフィーを一心に見つめて話していた。

 ダイニングには執事や侍女らが揃っている。
 何気ない風を装っているが、甘すぎる(あるじ)に聞き耳を立てていることは確かだ。

「ありがとうございます。でも私はこれといって欲しい物はないのです。レブロン様のお屋敷には伺わせてほしいのですが」

 話を収束させようとした。だが、
「遠慮することはないぞ、せっかくここに来てくれたのだ。明日はこの屋敷を案内させよう。いや俺が直接したほうがいいかな。まずはこの本邸だ。使用人の部屋は渡り廊下で繋がっていて用があれば呼び出せるのだ」
「はい」
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