逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
もう一つの屋敷
 一行は、大きな門構えの前に立った。
 門番がアーロンを見て最敬礼する。

 大きくて重厚な門扉がギーッと開く。
 広い敷地には樹木が植えられ屋敷の影がすぐには見えない。これだけでも相当名のある貴族の邸宅に思えた。

「ここは?」
 気圧されて思わず聞いた。

「まあ中に入ってくれ、話はそれからだ」

 屋敷の玄関でも臣下が待ち受けていた。
 門番と同じく丁寧にあいさつをする。

 広い玄関ホールは吹き抜けで、その壁にも頭上にある大きな窓にも目を見張るような紋様が刻まれている。
 正面には大きな花瓶があり、その向こうに長い廊下が続いていた。
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