逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
捜索
　エレナを発見したという報が入った。

　ヴェンらは北通りの市場から下町まで探索範囲を広げていた。
　その下町にある廃墟、その柱に縛り付けられた彼女を見つけたのだ。

　半死半生のエレナは、ラプターのを背後をしゃべった。
　数人の傭兵崩れを雇って何かを画策していると。その傭兵崩れは川辺の倉庫をねぐらにして、エレナはラプターに連れられて何度か訪ねたことがあるのだと。

　ヴェンらは一旦ハインツ邸に戻った。相手の組織が大掛りだとわかったからだ。
　屋敷の警護兵を加えて陣容を立て直す、そしてすぐ出直そうとしていた。

「大丈夫なの？　傭兵崩れだなんて」
　心配するソフィーに、
「傭兵はもしかしてバッハス人かも知れませんからね、用心して向かいます。それにちょっと気になることを聞いたので」

「気になる、こと？」
「エレナは傷心し切っていて、今までのことを洗いざらいしゃべったのですが。その中にハインツ家に関することが混じっていたのです」
「え？　それはいったい」

　ヴェンが答えようとする、そこへ、
「おい、支度ができたらすぐ出発するぞ」
　ラフな服の男が現れた。

　洗いざらしのワイシャツと地味なズボンだった。それでもはっと惹き付けられるものがある。
< 413 / 479 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop