逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「シュテルツ殿、これだけ待ってもハインツ殿は出席されないのだ」
老齢の伯爵が糺すように言った。
「これはあの方の答えと取ってもいいのではありませんか。ご母堂の背景を聞かれて憤慨した、いや、答えられず進退窮まったと言うべきか」
「と、おっしゃいますと?」
「次期国王を辞退するということですよ。そうでなければこれだけ皆を待たせて、この重要な会議をないがしろにする訳がないのだ、違いますか」
返す言葉がなかった。
彼の周囲もそろってうなずいている。
これ以上の引き延ばしは無理だと思った、いったん閉会して後日再び招集するべきなのか。
しかし後日再開してそのあとはどうなる?
諸侯らの心情はアーロン擁立から逆の方向に流れていた。
事態が極めて難しくなったのを感じた。
全身から力が抜ける思いがした。
* * *
老齢の伯爵が糺すように言った。
「これはあの方の答えと取ってもいいのではありませんか。ご母堂の背景を聞かれて憤慨した、いや、答えられず進退窮まったと言うべきか」
「と、おっしゃいますと?」
「次期国王を辞退するということですよ。そうでなければこれだけ皆を待たせて、この重要な会議をないがしろにする訳がないのだ、違いますか」
返す言葉がなかった。
彼の周囲もそろってうなずいている。
これ以上の引き延ばしは無理だと思った、いったん閉会して後日再び招集するべきなのか。
しかし後日再開してそのあとはどうなる?
諸侯らの心情はアーロン擁立から逆の方向に流れていた。
事態が極めて難しくなったのを感じた。
全身から力が抜ける思いがした。
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